
2025年10月4日に中日ホールで開催された「ポタフェス2025名古屋・栄」に行ってきました。
試聴したプロダクトについては、動画にまとめていますので、ご査収のほどよろしくお願い致します。
【EVENT】ポタフェス2025名古屋・栄で聴いた新製品を振り返ってみた。
- opening
- BQEYZ - WINTER Ⅱ
- acoustic effect - YSM-F07/M
- SOSO.LABO - Lucent Ear Fit
- OSU10
- iBasso - PB6 MACAW
- SHANLING - M7T
- FIIO - M27
- AZLA - SednaEarfit mithryl
- HiBy Music - RS8 Ⅱ
- Unique Melody - Mason Asahi
- VISION EARS - GO Live
- ULTIMATE EARS - UE 6+ PRO
- ASHIDAVOX - HA-SX12/HD-W/K
- ASHIDAVOX - HA-ST12-AH/PH/GH
- intime - Flagship Model Prototype Ver.2
- JOMO AUDIO - NAUTIC STELLAR
- See audio - SeeU
- BGVP - Solomon
- YAMAHA - YH-5000SE, YH-4000, YH-C3000
- e☆イヤホン名古屋大須店
- ending & digest
- 余談です。
opening
地方で開催されるポタフェスに参加するのは、おそらく、 2013年5月25,26日に大阪で開催された第3回のポタフェス以来。 たまたま大阪出張のタイミングと重なり、延泊して参加しました。
たしか、fostex KOTORIのヘッドホンを作るイベントがあったり、Astell&KernのAK120を試聴してデュアルDACスゲーってなったり、物販でWestoneの限定仕様のWestone3を購入したりと、 ここ最近のポタフェスよりも、記憶に残るイベントだったと思います。
12年ぶりの地方開催のポタフェスに参加するにあたり、 8時東京発の新幹線(のぞみ)に乗って名古屋へ向かいます。
今回、せっかく名古屋に行くので、 Unique Melody - MACBETH Gold Editionを持ち出してみました。
Unique Melody - MACBETH Gold Edition(通称ゴルベス)は、 e☆イヤホン名古屋大須店のオープンを記念して、 99台限定で2015年に発売された、縁のあるIEM。
あれから10年。さすがに出番は少なくなりましたが、NICEHCKのDuskSkyと組み合わせて、 今でも現役のIEMとして愛用しています。
名古屋に降り立つのは、更に遡るので、15年ぐらいぶり?
改札を出て、早々に迷子になりましたが、なんとか栄駅に到着。
この日はあいにくの天気でしたが、中日ホールは駅直結なので、雨に濡れることなく、13番出口を目指して歩いていきます。
6階に上がって、パンフレットを眺めながら、待機列で開場を待ちます。
BQEYZ - WINTER Ⅱ
BQEYZ - WINTER Ⅱは、ダイナミックドライバー1基と骨伝導ドライバー1基を組み合わせたハイブリッド構成のIEMです。前作のWINTERからデザインや音作りの方向性を受け継ぎつつも、全体的によりどっしりとした印象を受けます。最初に聴いた瞬間、「こんなに腰の据わった音だっただろうか?」と思うほど、重心が低く安定感のある鳴り方をします。全体のトーンは滑らかでありながら、適度なメリハリを持ち、情報量を丁寧に整理して届けてくれる印象です。高域は非常に澄み切っており、繊細な余韻が感じられます。一方で低域は、ほんの少し濁りを伴うような、アナログ的な温かみがあります。解像度だけで言えばもっとクリアな表現も可能だと思いますが、このわずかな濁りが逆に音楽の厚みや深みを演出しており、BQEYZらしいチューニングの妙が感じられます。全体としては、緻密さよりも音楽的な豊かさを重視した、落ち着きのある完成度の高いサウンドです。
※補足:WINTER Ⅱはクラウンドファウンディングを利用した先行予約販売でリリースされたようです。チューニングが異なる以外に、WINTERよりもスリムになったハウジングなど、細部に渡ってアップデートされたようです。
acoustic effect - YSM-F07/M
acoustic effect - YSM-F07/Mは、久しぶりに試聴したアコースティックエフェクトの最新作です。ついに同ブランドとしては初めて、耳掛け式(いわゆるシュア掛け)を採用したモデルとなっています。ドライバー構成はバランスドアーマチュアドライバー1基のみという潔い構成で、見た目からも「原点回帰」と「挑戦」の両方を感じさせるIEMです。音の傾向はまさに“アコエフっぽい音”。モニター的でありながら、どこか温度感のあるナチュラルな中域が印象的です。高域は派手に伸びるタイプではなく、聴き疲れしにくい落ち着いたトーン。低域は控えめながらも、必要な情報をしっかりと押さえており、音全体のバランスを崩さない絶妙な加減です。解像度やレンジ感で勝負するタイプではありませんが、音像の正確さと自然な余韻の残り方に、長年のチューニング技術が感じられます。派手さはないものの、丁寧に音を聴かせる誠実なサウンドで、「らしさ」をきちんと継承した1本です。
※補足:シュア掛けもそうですが、コネクターにmmcxを採用しているなど、一昔前の基準に準拠できたという印象もあります。
SOSO.LABO - Lucent Ear Fit
SOSO.LABO - Lucent Ear Fitは、液体シリコンを採用したイヤーピースで、その独特な素材感と装着感が特徴です。手に取った瞬間にわかるのは、軸の部分がかなり肉厚でしっかりしている一方、カサ(傘)の部分は非常に薄く柔らかいという構造。耳に入れたときの密着感が高く、しなやかにフィットしながらも、安定した装着感を得られます。音質面では、このイヤーピースならではの生々しさが際立ち、ボーカルの息遣いや弦の響きなどがより近く、リアルに感じられます。全体のトーンはクリアで見通しがよく、透明感のあるサウンド。どちらかといえば高域寄りの傾向で、抜けの良さや明瞭さを求める人に向いたキャラクターです。低域はややスリムになりますが、そのぶん音の輪郭がよりシャープに聴こえる印象。サイズ感としては、一般的なMサイズと比べてやや大きめに感じるかもしれません。耳への密着度が高く、繊細でクリアなリスニング体験を楽しめるイヤーピースです。
OSU10
OSU10は、e☆イヤホン名古屋大須店10周年を記念したIEM。ドライバー構成はダイナミックドライバー1基搭載。 Hi-Unitが関わって開発・製造されたようです。シンプルなドライバー構成ながら、その鳴り方には意外な個性があります。まず聴いて感じるのは、圧倒的な低域の存在感。量感がしっかりあり、ベースラインやキックドラムが前面に出てくるタイプで、全体として“低域モリモリ”という表現がぴったりです。ただしその反面、中高域がややこもり気味に感じられる場面もあり、すっきりした抜けよりも、厚みや重さを重視したサウンドチューニングといえます。プラグは3.5mmのアンバランス接続のみで、必要最低限の構成。全体的に中華オーディオ的な雰囲気を漂わせており、ここ最近の基準よりもやや劣りますが、自分好みに仕上げる事を想定したノビシロを残した仕様になります。いわゆるハイファイ志向というよりは、力強く鳴らす“勢いのあるサウンド”を楽しむIEMで、低域重視のリスナーやポップス・ロック系の楽曲をメインに聴く人には相性の良い一本です。
※補足:ブランドとしてはeイヤホンになるようですが、製造はHi-Unit(の下請け工場)ということになるかと思われます。
iBasso - PB6 MACAW
iBasso - PB6 MACAWは、同ブランドらしく独自の設計思想が感じられるポータブル真空管アンプです。そういえば、iBassoはもともとポータブルアンプメーカーとしてスタートしたブランドだったことを思い出させてくれる一台でもあります。真空管を搭載していると聞くと、多くの人は“温かみのある音”を想像するかもしれませんが、PB6 MACAWはそのイメージを軽々と裏切ります。音は驚くほどパッキパキで、切れ味の鋭さと解像感もありながら、力強い音の鳴り方です。自分が理想とするタイプの真空管サウンドにかなり近く、情報量の多さやスピード感を保ちながらも、僅かにアナログ的な質感を添える絶妙なバランスです。サイズ感はHiBy Music - R6 Pro IIとほぼ同等で、重ねて使用しても非常にまとまりが良く、自分の環境的には携帯性に優れています。付属品に保護ケースのようなものはなく、持ち運びの際にはやや注意が必要ですが、音の個性と完成度は抜群。さまざまなIEMでそのポテンシャルを試したくなる、意欲的なポータブル真空管アンプです。
※補足:iBassoは、もともとポータブルヘッドホンアンプのメーカーとしてスタートした中国・深圳のブランド。2006年前後に設立され、初期は Dシリーズといった USB DAC内蔵ポータブルアンプ を中心に展開していました。iBassoを有名にしたのはD12ではないでしょうか。
SHANLING - M7T
SHANLING - M7Tは、真空管を搭載したDAPで、2025年2月に発売されたM8Tの下位に位置付けられるものの、使いやすさや聴きやすさという点ではむしろこちらのほうが優れている印象です。音の傾向は、真空管らしい温かみ系サウンドではなく、押し出し感に裏付けされた味付けをベースにしつつも、ニュアンスを丁寧に表現するタイプで、iBasso - PB6 MACAWのように振り切ったパッキパキ感はありません。むしろ聴き慣れない独特のキャラクターがあり、生々しさや解像感が際立つ音作りが印象的です。高域から低域までバランスよく広がり、細部の表現も丁寧に描き出されます。M8Tと比べると、全体のトーンはよりナチュラルで、聴き疲れしにくい印象。真空管搭載とはいえ、過度な色付けがなく、音楽そのもののリアリティを大切にしたチューニングです。操作性やUIも直感的で扱いやすく、日常的に持ち歩きやすいDAPとしての完成度も高い一台。真空管DAPの新しい可能性を感じさせる、個性的でありながら実用性も兼ね備えたモデルです。
FIIO - M27
FIIO - M27は、M17の後継機として登場するFIIOのフラッグシップDAPです。今回試聴したのはアルミ筐体モデルで、同シリーズにはアルミとチタンの2種類がありますが、残念ながら試聴はどちらか一方のみ。手に取ると、さすがフラッグシップらしいしっかりとした作りと質感が伝わってきます。音質面では、非常に余裕のある鳴りが特徴で、低域から高域までバランス良く広がり、解像感や情報量も申し分なし。極端な味付けがなく、中庸でありながら安心感のある音作りは、どんなジャンルの音楽にも対応できる懐の深さを感じさせます。デザイン面では、側面に入ったスリットが単なる装飾ではなく、LEDが光るギミックとして機能しており、視覚的にも楽しめる仕様。ただしその光り方のせいで、少しオモチャっぽく見える印象もあります。フラッグシップとしての実力を持ちながら、デザインの遊び心も忘れない、音と使い勝手を両立したモデルです。
AZLA - SednaEarfit mithryl
AZLA - SednaEarfit mithrylは、液体シリコン製のイヤーピースの中に金属(アルミ)コアを内蔵したユニークなモデルです。一瞬だけの試聴でしたが、音は想像通りで、金属コア由来の響きをまとったサウンドが印象的でした。国内ではPentaconnのCOREIRくらいしか同様の構造を持つイヤピースはありませんが、海外メーカーからは同じような金属コア入りイヤピースが続々とリリースされており、音の個性や傾向に共通点が見られます。聴き比べると微妙な差異は出てくると思いますが、基本的には透明感や響きのニュアンスが強調される傾向で、耳に直接伝わる音の質感が豊かになる印象です。ただし、装着感には注意が必要で、あまり深く耳に入れすぎると痛みを感じやすく、装着する際に痛みを感じました。そのためフィット感や装着角度を慎重に調整する必要があります。音質的には、金属コアによる響きの効果が明確で、他の液体シリコン製イヤピースとは異なる独特の個性を持ったモデルと言えます。聴き比べを行えば、各モデルごとの細かな差異やキャラクターをより実感できそうです。
※補足:国内未発売の金属コアを採用したイヤピースはSHANLING - SE100やTANGZU - Tang Sancai Nobleなどが挙げられます。
HiBy Music - RS8 Ⅱ
HiBy Music - RS8 IIは、R2R-DACを中核に据えたDarwinアーキテクチャを搭載するRSシリーズの最上位モデル、RS8の後継機として登場したDAPです。今回試聴したのはサンプル段階の個体であり、今後の製品版では仕様や細部のチューニングに変更が加わる可能性があります。挙動には一瞬だけ不安定な部分も見られましたが、その音の完成度はすでに非常に高く、HiByの進化を強く感じさせるものでした。音は一言で言えば“ナチュラルなのに凄い解像感”。情報量は豊富なのに、決して無機質ではなく、有機的で立体的な音の塊として耳に届きます。高域の伸びや中域の密度、低域の安定感、そのどれもが見事に調和しており、リファレンス用途としても、純粋なリスニング用としても満足できる仕上がりです。過度な誇張がなく、自然体のまま音楽を描き出すチューニングは、まさに理想的。思わず「ずっと聴いていたい」と感じさせる、完成度の高いサウンドです。
※補足:再生開始時に別の曲の一部が一瞬聴こえてきたのが挙動の不安定な症状です。おそらく製品版で改善されるかと思います。また、HiBy Musicが未だに時々搭載してしまうA/AB級アンプの切替は、パっと見た感じは非搭載のようです。
Unique Melody - Mason Asahi
Unique Melody - Mason Asahiは、受注生産で販売される約134万円の超高級IEMです。ドライバー構成はBA×12基に加え、骨伝導ドライバー×3基を組み合わせた、同社らしい緻密で大胆な設計。ドライバーの種類としては2種構成のハイブリッドながら、その数と構成はまさに規格外です。音を聴いた瞬間に感じるのは、「これだけ積めば、そりゃこう鳴るよな」という圧倒的な説得力。高域は澄み渡るように伸び、中域は密度が高く実在感があり、低域は深く沈み込みながらも制御が行き届いています。すべての帯域が高解像でありながら自然に繋がっており、分離感と一体感が見事に共存。音の厚み、空間の広がり、立体的な描写力のすべてが桁違いで、まさに“超弩級”という言葉がふさわしい仕上がりです。期待を裏切らないどころか、むしろ清々しいほどの完成度で、Unique Melodyの技術力と哲学を体現した究極のIEMです。
※補足:高級路線を直走るUnique Melodyですが、各代理店との共同開発IEMは引き続き進めていく方向で話はあるらしいです。Maslow以来、出て来ていないません。以前、サンプルとも言えないぐらいの試作モデルを試聴させてもらったことはありましたが、ここからどうするか…ということも考えるのが難しいほど、オーディオ製品とはかけ離れたモノでした。
VISION EARS - GO Live
VISION EARS - GO Liveは、VISION EARSの新たなエントリーモデルとして登場したIEM。ドライバー構成はDD×1+BA×3のハイブリッド。今回のポタフェスで最も注目を集めたプロダクトの一つで、休憩スペースでも SNS上でも評判の高いIEMのようです。音はゴリゴリとしたエネルギッシュなサウンドで、分厚い中低域と押し出しの強さが印象的。音像の立体感もしっかりしており、VEらしい上質さを保ちながらも、これまでにない攻めたキャラクターを感じます。外観はゲーミングデバイスを思わせる雰囲気で、パープルのリングが目を惹く、VISION EARSの新しい方向性を示すデザインと言えそうです。全体的にパワーがありすぎるため、音源によっては相性の差が出そうですが、ライブ感や躍動感を求める人には刺さるチューニング。VISION EARSの新章を感じさせる1本です。
※補足:会場内にあった喫煙所でも他人の会話が聞こえてくるぐらいに、評判が耳に入ってきました。10万円を切る価格になる見込みのようですが…為替の動き次第でしょうね。
ULTIMATE EARS - UE 6+ PRO
ULTIMATE EARS - UE 6+ PROは、DD×2+BA×1のドライバー構成。先代UE 6 PROのアップデートモデルですが、音の印象は大きく変わらず。ステージモニターらしい、ややモコモコとしたウォームなサウンドです。中低域の厚みが強く、ボーカルやリズムをしっかり支える一方で、高域の抜けや広がりは控えめ。あくまで業務用途を意識した設計で、派手さよりも実用性を重視したIEMという印象を受けます。ステージ上での安定したモニタリングや、演奏時の定位確認には適していそうですが、リスニング用途ではやや不向きに感じる人も多いかもしれません。UEらしい堅実さは健在で、信頼性と耐久性の高さはさすがの仕上がり。プロユースを前提にした堅実なツールといった位置づけのモデルです。
ASHIDAVOX - HA-SX12/HD-W/K
秋葉原のポタフェスでは常に長蛇の列で試聴できなかったASHIDAVOXでしたが、ようやくブースに立ち寄ることができました。カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色展開で、リケーブルにも対応。ブースではonso製のケーブルを使ってバランス接続で試聴しました。音の印象は、まさに“ASHIDAVOXの音”。中域から低域を軸に据えた、実直でストイックな業務用サウンドです。従来機に比べると高域にやや伸びを感じ、以前よりもわずかに柔らかさが加わった印象。ただし高域が前に出てきたわけではなく、ASHIDAVOX特有のサウンドシグネチャーは健在です。リスニング向けというよりは、現場で使うための道具としての完成度が高く、安定感と堅実さを感じさせる一台。業務用途の中にほんの少しの聴かせる余裕を持たせた、進化系ASHIDAVOXといえます。
ASHIDAVOX - HA-ST12-AH/PH/GH
カラー展開は、パステル調のピンク、グリーン、ブルーの3色展開で、ベースカラーはグレー。外観は従来よりもずっとポップで親しみやすい印象ですが、鳴らせばやはり“ASHIDAVOXの音”です。音の重心は中域〜低域にあり、高域はあくまで控えめ。解像感を強調するタイプではなく、モニター用途を意識した実直なサウンドです。音量を上げても音の抜けより圧が勝ち、やや寸詰まり感のある聴こえ方をしますが、これはASHIDAVOXらしい設計思想によるもの。高域の一部にわずかにシャリっとした質感があり、僅かに煌びやかさを添えています。ポップな見た目とは裏腹に、あくまで業務機としての基準を守り抜いた一台。外観の変化に惑わされず、芯の通ったプロ用サウンドを貫いている点に、このブランドらしい矜持を感じます。
intime - Flagship Model Prototype Ver.2
年内のリリースを目指して開発が進められている、intimeのフラッグシップモデルのプロトタイプ第2弾。現時点では調整段階の途中経過で、ブースで伺った話のニュアンスを察すると、年内発売はやや厳しそうです。試聴してみると、しっかりと“intimeらしさ”が息づいており、intimeの個性の強い独特な音が健在。ただし、そこにあるはずがない質感としてバランスドアーマチュアドライバーが鳴っているような要素――やや無機質でそのままストレートに聴かせてしまうニュアンスのようなもの――が加わったように感じます。サウンドのキャラクター自体は既に高い完成度を誇り、現行ラインナップの延長線上にありながらも、明確に上位モデルとしての説得力を持った鳴り方。音のスケールや情報量、表現の余裕など、フラッグシップを冠するにふさわしい風格が漂います。細部へのこだわりが強く、最終調整にも時間をかけている様子がうかがえました。
JOMO AUDIO - NAUTIC STELLAR
Nautilus、Nautic Gleamに続く、JOMO AUDIOの新たなUniversal Fitモデルであり、同ブランドのフラッグシップに位置付けられる最新作。ドライバー構成はDD×1+BA×4+PL×1+BC×2という、まさに“お手本のような複雑系”と呼べる豪華仕様。低域から高域までの幅広いレンジを、それぞれ異なるドライバーが受け持つ構成からも、JOMOの技術的挑戦が感じられます。外観デザインはNautilusの系譜を受け継いでおり、ブランドとしての統一感がある一方で、音のキャラクターはこれまでとは異なる方向性。試聴した印象では、全体として“野太く、カッチリ”としたサウンドで、重心の低い力強さが印象的。芯がしっかりしていて、勢いと押し出し感のある音作りになっています。繊細さや万能性よりも個性が際立つチューニングで、聴く人によって好みが分かれそうですが、ブランドのフラッグシップとしては十分に納得できる完成度。良い意味で“振り切った”印象を残す一台です。
See audio - SeeU
DD×1+BA×4を搭載したハイブリッドドライバー構成のIEM。ブランドの人気モデル「Bravery」にダイナミックドライバーを追加した形で、従来のSee audioサウンドをベースにしながらも、より広い帯域表現を狙った意欲的なモデルです。試聴した個体は届いたばかりとのことで、まだエージング前の硬さが感じられますが、その段階でも音の方向性は明確。高域の表現が非常に多彩で、楽曲によって違った聴こえ方を見せるのが印象的でした。解像感を重視しつつも、どこか滑らかで、刺さるような高域にはなっていません。中域にはBraveryらしい自然な厚みがあり、低域はDDらしい量感が加わることで、全体のバランスを支えています。音のまとまりが良く、まるでこれまでのSee audio製品の総集編のような完成度。以前は聞き手を試すような挑発的な音の鳴り方を特徴とする傾向がありましたが、SeeUはSee audioの新しい方向性を示しつつ、僅かに過去のSee audioの個性が融合したモデルと感じました。個人的にはSee audioの中でもかなり好印象な一台です。
BGVP - Solomon
8mm径のダイナミックドライバーを2基搭載し、それに加えてSonion製のBA×3+EST×2+BC×2を搭載したハイブリッド構成。ダイナミック以外のドライバーがすべてSonion製で統一されているのが特徴的です。少し前にAliExpressでオススメとして流れてきたIEMで、興味はあったのですが、リアルアシスト ミミソラ事業部のブースで参考展示されていたので、試聴してみました。音の印象は、良い意味でお手本のようなドンシャリ。低域と高域がしっかり主張しつつも、中域の厚みも保たれており、硬さやエッジのバランスが絶妙です。力強く、楽しく聴けるサウンドで、高揚感がありながらも解像感も充分にあるタイプの音の鳴り方だと思います。年内のリリースに向けて動かれているようですが、価格帯としてはSee audio - Kaguya 2と同価格帯になる見込みとのことですので、25万円前後になるようです。
YAMAHA - YH-5000SE, YH-4000, YH-C3000
ようやくこのYAMAHAのヘッドホンを試聴することできました。以前はイベントで試聴したくても、毎回予約制で、なかなか聴けない状況が続いていました。まずYH-5000SEは、2022年12月発売のYAMAHAの開放型フラッグシップモデル。外観はメカメカしく、高級感のある外観とは言えないものの、音は間違いなくハイエンド。わかりやすい説得力があります。YH-4000は、2025年10月発売の開放型のヘッドホンですが、YH-5000SEほどの開放感は感じません。仕様上は5000SEの廉価版にはなりますが、音は別物。そして、同じく2025年10月発売 のYH-C3000は、4000のパーツを流用した密閉型のヘッドホン。音には昔の黒電話のような独特の響きがあり、かなり粗削りな印象を受けました。総合的に見ると、この3機種の中ではやはりYH-5000SEが最も完成度が高く、ハイエンドらしい音をしっかり楽しめる一本でした。
e☆イヤホン名古屋大須店
16:30頃に会場から離脱して、e☆イヤホン名古屋大須店に訪れてみました。
初めて名古屋大須店に伺いましたが、ロック2ビルにあった頃の秋葉原店を一回り大きく広くしたぐらいの規模感かと思います。
レジの列が店舗の裏にあるエレベーターのあるところまで伸びていたりと、店頭スタッフさんはかなり忙しそうな様子。
おそらく、いつも以上の混雑具合だったようなので、あまり店内を見て回ることはしませんでしたが、昔のアングラ感のあるe☆イヤホンを垣間見れたような気がします。
というわけで、サクっと買い物をして、遅めの昼食。
フラフラと帰路につきます。
※補足:e☆イヤホン名古屋大須店で、OSU10を購入しました。ケースは付属しませんが、e☆イヤホン17周年記念イヤホンポーチ ソーダブルーが数量限定でいただけるとのこと。このイヤホンポーチはMUSINメッシュポーチのOEM的なモノのようです。「細かな傷から守る」には良いのですが…。なお、OSU10については、後日、レビューをしたいと思います。
ending & digest
今回の動画は以上になります。
ご視聴ありがとうございました。
今回のポタフェスではトータルで21の製品を試聴することができました。
ブースの混雑具合やタイミングといった都合もあって、 試聴できなかった新製品がまだまだ沢山あります。
聴き逃した新製品は別の機会に試聴したいと思います。
また、出展されなかったメーカー・代理店もありましたので、2025年11月1日に開催される、秋のヘッドフォン祭でも、 新製品をチェックしていきたいと思います。
この動画がみなさんの今後の購入検討の参考になれば幸いです。
余談です。
イベントの動画のナレーション入りを作成するにあたり、レギュレーションを「1製品(1コンテンツ)あたり1分」を「1製品(1コンテンツ)あたり約500文字」に変更しました。
時間換算すると約1分になりますが、今までと比べると、おそらく、1製品(1コンテンツ)あたりの情報量は2倍弱程度に…なっていません。(以前は300文字ぐらいを目安にしていました。)
例えば、「BA×4」を文字数に換算すると4文字(半角4文字/全角2文字)にはなりますが、読みの文字数にすると「バランスドアーマチュアドライバーを4基」は「ばらんすどああまちゅあどらいばあをよんき」となるので、19文字となります。(「ゅ」はカウントしない)
つまり、「ナレーション入りにしても1製品(1コンテンツ)あたりの尺は大きく変わらないように」してみました。
ということもあって、こちらの記事は、「全文字起こし」と、ちょっとだけ「補足」的な内容になります。